まず、インフォームドコンセントについてご紹介します。インフォームドコンセントとは、日本語で「説明と同意」を表します。患者が、自分の受ける治療内容に関してしっかりと説明を受け、その内容に同意した上で治療を受けることを意味します。
現在は医療従事者に説明義務があるため、当然行われていますが、以前は内容も分からないまま治療が進むこともあったようです。
説明されるべき内容として、治療方針、患者の現在の症状、手術を行う場合はその概要や危険性などが挙げられます。このような説明を受け、納得し同意することで、治療が開始されます。
この時、同意書などに署名をする場合があります。中には、同意書にトラブル発生時の対応についても記載されている場合があります。確認せず署名してしまうと、治療後にトラブルを招いてしまう可能性がありますので、必ずよく読んで、納得したうえで署名するようにしましょう。
次に、インフォームドチョイスについてご紹介します。こちらは、インフォームドコンセントに比べると馴染みのない言葉かもしれません。日本語で「説明と選択」を表します。医療従事者より説明を受け、患者自身に治療法を選んでもらうことを意味します。
治療を必要とする患者の症状に合わせ、選択可能な治療法を全て説明します。
説明を受けた各治療法のメリット、デメリットを踏まえて、患者自身が受ける治療法を選択します。この選択には、治療を受けるか受けないか、の選択も含まれており、患者主体の医療が求められる中で、その重要性が増しています。歯科治療に置き換えると、歯を失った場合、一般的には入れ歯、ブリッジ、インプラントのいづれかで歯を補う治療を行います。
それぞれの治療法にメリット、デメリットがあり、患者の優先すべき事項によって、最良の治療は変わってきます。例えば、できるだけ安く治療を済ませたい、という希望を持った患者であれば、健康保険内で対応できる入れ歯やブリッジを選択すると思います。
見た目を自然に仕上げたい場合は、セラミックでのブリッジやインプラントを選択するでしょう。提示された治療法の中から患者の意思で治療を選択することができるのは、大きな利点といえます。
ただし、例えば失った歯の隣の歯が弱っていて、ブリッジでの治療をすると隣の歯も失ってしまう可能性がある場合など、他の選択肢と比べてあまりに予後が悪いと予想される治療法は、提示されなかったり、患者が希望しても対応できなかったりする場合があります。
インフォームドコンセントに比べ、より主体的に治療方針を決定できるインフォームドチョイスを、カウンセリングに取り入れる歯科医院も昔に比べ増えています。
動画の冒頭でお話した通り、治療についてデメリットや費用、治療後のメインテナンスについてなど、しっかりとした説明がなかったり、確認をしなかったりすることで、インプラント治療後に後悔される方が多くいらっしゃいます。治療後に後悔しないためにも、一方的に説明を受け、そのまま同意するのではなく、メリット・デメリットの両方をよく理解したうえで、治療法を選択しましょう