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歯科医師のことをきちんと知っておきましょう。

厚生労働省の平成23年医療施設調査では、全国6万8000施設を超す歯科医院のうち、インプラント手術を行っている歯科医院は約1万1000施設と全体の約16%を占めています。今やコンビニエンスストアより多いといわれる歯科医院の2割近くが、インプラント治療を導入しているわけです。

実は、インプラント治療は歯科医師の資格さえあれば誰でも行うことができます。しかし本来はインプラントを埋め入れる技術だけではなく、歯周病治療、噛み合わせ治療、外傷などの口腔外科的処置や、X線検査、CTといった検査・診断技術など、歯科全般に関わる高い知識が求められる治療法なのです。歯科医師は学会やメーカー主催のセミナーや講習会などで技術を学び、日々進歩するインプラント治療に関して根気よく勉強を重ねていかなければならないため、技量には個人差が生じます。

これらのことを踏まえると、患者さんがたくさんの施設の中から信頼できる歯科医師を見極め、安全な治療を受けられる歯科医院を選択するのはなかなか難しいことといえるでしょう。

歯科医師を探すとき、インプラント治療の症例数や実績は多くな目安になります。歯や骨の状態など口腔内の環境は個人差が大きいため、多くの経験を積んでいる歯科医師はより適切な判断ができるといえます。

治療実績などは、医院のホームページやパンフレットに書かれていることもありますので参考にしましょう。歯科医師を直接たずねて、手がけた過去の症例写真と、治療経過がわかる写真を見せてもらうことも大切です。症例数をこなしメインテナンスもきちんと行う歯科医師だという判断につながります。

インプラント治療は虫歯や歯周病などの術前治療を済ませ、無事に埋め入れることができたからそれで終了ではありません。手術が終わってからお口のお手入れが始まり、長い年月をかけてメインテナンスを受けながら維持していくのです。そのため担当医や歯科医院とは、定期的な検査や診断、専門的なケアを受けるなど、長くおつき合いしていく必要があります。

歯科医師を選ぶときは自分との相性がよく、人間的に信頼を持ってつき合えるか、一生自分の歯を任せられるかなども併せて考えてください。普段から治療についての説明が丁寧であること、またインプラント以外の治療も選択肢として提案してくれることなどでも、治療への姿勢がわかります。セカンドオピニオンを嫌がらないことも、治療を選択するうえで必要なことと理解している証拠だと考えられますので、一つの目安にすることができます。

歯科医院を紹介された際、「認定医・専門医・指導医」という名称を目にしたことはありませんか?これは各学会が知識や経験を備えた歯科医師に交付する資格です。学会によって資格条件や認定基準はそれぞれ異なります。

例えば日本口腔インプラント学会の認証医(認定医)や専門医は、同学会が認めている研修会や講習会などに一定の回数参加していること、また指導医の推薦や決められた症例数を経験していることなど細かい条件を満たすことで認定試験を受ける資格が得られます。

そこでさらに同学会の審査や試験に合格するとインプラント治療についての学識や経験を十分に持っているとみなされ、認証医や専門医として認定されるのです。

インプラント指導医は、認定医として経験を積んで深い学識を有し、認定医や専門医を指導できると認められた歯科医師に交付される資格です。論文発表や症例の実績を数多くこなして厳しい条件を満たし、学会の審査や試験に合格しなければなりません。

これらの資格はインプラントの診断や治療方法の選択、適切な処置についての知識があると認めるもので、技能の評価ではありません。しかし高度な知識と技術を要するインプラント治療について、きちんと学んできた証明でもありますから一つの指標として考えるとよいでしょう。

医科や歯科の世界は日進月歩とわれ、前年までの技術が翌年はもう古いシステムとされていることも少なくありません。お口のお手入れに対する考え方や実際の治療方法の研究・開発も進むため、学会や研究会などで日々研修会や勉強会が行われています。

同じ歯科医師でも、こうした勉強を欠かさない歯科医師とそうでない歯科医師では技量に差が生じてくるものです。認定医などの資格だけにとらわれず、勉強会への参加状況、または講演や論文の発表などを積極的に行っているのか、なども歯科医師選びの一つの目安になると考えてください。

また、クチコミなど患者さん同士のネットワークなどから情報を得たら、実際に受診して歯科医師と直接話してみて、経歴や資格だけでなく、人間的にも自分に合う歯科医師を選ぶのもおすすめです。

インプラント学会は、インプラント学の進歩、普及を図るためにつくられました。学術集会、講演会及び研修会などの開催・学会誌及び、その他の刊行物の発行、研究及び調査の実施、学会認定医の認定、国際的な研究協力の推進、研究の奨励及び研究業績の表彰などさまざまな活動を通じて、歯科医師のインプラントについての知識や技術の向上を目指しています。日本には主に二つのインプラント学会があります。

●日本口腔インプラント学会

前身は1972年に設立された日本歯科インプラント学会で、1986年現在の名称に変更されました。歯科インプラント医療の発展と向上、国民への福祉に貢献するための活動を目的としています。現在、認定制度を変更し「認定医」が現在の「専門医(以前の専門医)」と、「認証医(以前の認定医)」に名称が変わっています。

●日本顎顔面インプラント学会

顎顔面や歯科インプラント治療の進歩や発展のため、大学の先生を中心に発足した学会です。「口腔顎顔面領域外科」を基盤とした正しいインプラントの知識と国民から信頼される良質なインプラント治療の普及により、国民の健康増進に寄与することを目的とした学会です。

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