インプラントが噛む機能を取り戻せる治療法だという認識が一般にも普及してきた昨今、治療を受ける人の数もかなり増えています。
実際インプラント治療の成功率は非常に高く、1965年にスウェーデンの学者ブローネマルク教授が開発したチタン製のインプラントについては、10年以上に渡って、96%以上が生存しているといわれています。
しかしその反面、トラブル例も聞かないわけではありません。どの治療にもいえることですが、完璧な治療というものは存在しませんので、インプラント治療においても、手術数に対し数%の割合で何らかのトラブルによる経過不良が起こっています。
インプラント治療のトラブルは治療中に起こりうるもの、治療終了後に起こりうるものの二つが考えられます。
インプラント治療中の代表的なトラブルとしては、インプラントを埋め入れた部分が神経に損傷または圧迫を加えてしまい、あごや口唇に麻痺が出たり、しびれが残ったりすることがあります。これは下あごに起こりやすく、手術の際に下か が く 顎神経に触れた、もしくは近かったなどにより、起こってしまうものです。軽い刺激なら自然治癒する場合もありますが、「痛くないから大丈夫」などと自分で判断しないでかならず歯科医師の診断を受けてください。
また上あごにインプラントを埋め入れる場合に見受けられるトラブルとして、歯の上にある骨の空洞、上じょう顎がく洞どうにある粘膜の上顎洞粘膜が傷つき、細菌が入り込み炎症が起きる上顎洞炎があります。
治療終了後のメインテナンス期間では、噛み合わせの不具合やインプラント周囲炎などが考えられます。人工歯が欠けた、割れた、ひびが入った、グラグラするなどの不具合や歯茎が腫れるなどの症状が出た場合は注意が必要です。
自分で行うお手入れが不十分だったり、インプラントのケアに慣れずうまくできていない場合、トラブルが起こりやすくなってしまいます。慣れるまでは遠慮せずに、お手入れの方法を歯科医師や歯科衛生士に何度でも指導してもらうようにしましょう。