Dental Treatment Column

歯科治療コラム

持病を抱えている方のインプラント治療

持病を抱えている方のインプラント治療

持病を抱えている方は十分な注意が必要です。

インプラント治療は外科手術を伴うため、誰でも気軽に受けられるというわけにはいきません。

持病がなく、体調が安定している方なら高齢でも治療を行い、成功した例は数多くあります。しかし、持病を持っている方の場合は年齢に関わらず、インプラント治療を行っても大丈夫かどうか事前に判断しなければなりません。歯茎を切開し、あごの骨に金属の人工歯根を埋め入れる手術ですから、精細な注意が必要です。

インプラント担当医はカウンセリングの段階で、患者さんの持病の有無について聞き取り、持病の主治医との連携がとれるか、また治療に耐えられるかどうかを確認、判断していきます。

基本的には全身疾患でも比較的軽度で、状態が安定していて、術後の管理もしっかりできるようであれば、インプラント治療は受けられます。しかし中等度以上から重度に至る疾患を持ち、食事療法や運動療法などを行っている方の場合は、個人の医院より大学病院などにおいて全身管理を行いながらインプラント手術を受けたほうが安全でしょう。

持病を抱えている方のインプラント治療

インプラント治療を受けられない持病とは

下記の疾患などで症状の重い方、身体の状態が安定していない方は、インプラント治療を受けることが難
しくなります。しかし、身体の状態によっては、インプラント治療が可能となることもあります。歯科医師が、
かかりつけの主治医と連絡をとり、治療方法について検討することもありますので、歯科受診の際には、か
かりつけ医院の診察券など連絡先がわかるものを持参するとよいでしょう。

また、動悸、息ぎれ、めまい、呼吸困難、むくみ、胸痛、不整脈など、身体に不安な症状がある場合は歯科を受診する前に、健康診断を受けておくことをおすすめします。

糖尿病の方:きちんと通院していない方や、血糖コントロールができていない方、重度の方の多くは術後の傷が治りにくく、感染症にもかかりやすくなっています。インプラント手術を行うと患部が化膿したり、あごの骨との結合ができないなど支障をきたす恐れがあります。また治療中のストレスで高血糖や低血糖に陥るリスクも高くなります。

心臓病の方:虚きょけつせい血性心疾患(心筋梗塞、狭心症)の持病がある方は、4週間以内に狭心症発作の回数が増えたり、安静にしていても発作が起こったりした場合、心筋梗塞を起こしやすい状態にあります。また増そうぼうべんおきかえじゅつ帽弁置換術を受けた方やペースメーカーを入れている方は感染性内膜炎にかかる恐れがあるため、出血を伴う手術は受けられません。

高血圧の方:高血圧が続いていて、内科の主治医の指示通りに投薬や通院を行っていない方は手術中に脳卒中などの発作を起こす可能性が高く、インプラント治療を行うのは危険です。

肝臓病の方:重度の肝臓病、肝硬変を患っている方は肝機能障害で止血しにくい場合があります。またインプラントの手術後の服用薬で、さらに肝機能が低下するリスクも高くなります。

腎疾患の方:腎疾患がある方は免疫力の低下によって傷が治りにくく、骨がもろくなっているのでインプラントとの結合も難しくなります。さらに人工透析を受けている場合は、服用薬の影響で止血しにくい傾向があります。

骨粗鬆症の方:骨粗鬆症で通院し、ビスフォスフォネート製剤を使用している場合は骨の治癒を妨げるため術後、あごの骨の壊死に至るケースが報告されています。投薬の種類や期間などによっては治療ができることもありますから、主治医に相談してみましょう。

がん治療中の方:抗がん剤治療を受けている場合、免疫力が低下するため細菌感染しやすくなって虫歯や歯周病が進行し、口内炎も多発します。放射線治療では唾液の分泌が減ってドライマウスになり、口の中が浄化できないのでやはり感染症を起こしやすくなります。あごの骨に照射していた場合、骨の治癒力が落ちるので抜歯やインプラントは避けたほうがよいでしょう。一度がん治療の主治医に相談することをおすすめします。

※診断内容はそれぞれの方の症状や、担当医によっても異なる場合があります。

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